レビュー: 近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』(晶文社)
『フェミニスト、ゲームやってる』は、2024年3月に惜しまれながら閉鎖されたWebマガジンWEZZYに掲載された連載をベースに、描きおろしを大幅に追加して刊行された近藤銀河初の単著です。私は取り上げられているゲームはどれもやったことなし、有名なタイトルだけ目にしたことがある、程度しかゲームに関心のない人間なのですが、この本はとても興味深く刺激的な内容でした。小説や映画などの片方向のメディアで受け手に求められるデコードのしかたはかならずしも明瞭とは限らず、故に批評の可能性が誤読といったかたちでも開かれます。操作によるユーザーとの共同作業が前提となるインタラクティブなメディアとしてのゲームの特質はその点においてはむしろ自由度は低いのでは?となんとなく思っていたのですが、著者は操作に対するためらいやとまどい、プレイの中断や放棄など、ゲームの求める規範の受容への抵抗にその契機を見て取ります。…