Confused light制作で使わなかったELECTRIBE Waveの機能にAbleton Live Project形式のエクスポートがあります。Ableton Live使いではない私は2ミックスのバウンス・エクスポート以降はTracktion Waveformに取り込んでiZotope Ozone 9 Elementsで調整といういつものやりかたで済ませたのですが、マニュアルを見てもWebを検索しても同機能の情報が見あたらず、Ableton Live Liteのライセンスもあることだし、ということですこし試してみました。
マニュアルにあるとおり、ELECTRIBE WaveでのAbleton Live Project形式でのエクスポート方法は基本的には他の形式のエクスポートと同じです。ビット深度(最大24bit)とサンプリング周波数(最大96kHz)が選択可能。ただしパート(トラック)は選択できず、データのないパートはレンダリングされません。ソングをエクスポートしたときはソングの音声もレンダリングされます。
エクスポートされたデータをPCに取り込んで覗いてみると、レンダリングされた音声ファイル(.wav
)・Ableton Live用クリップ設定ファイル(.asd
)の他に拡張子が .als
のファイルが二つあります。片方は -Lite.als
で終わるのでLite用だとわかります。Liteにはトラック(パート)が8まで、セッションビューが16までという制限があるので、専用のファイルを用意するわけですね。親切設計、ではあるのですが、ELECTRIBE Waveはシンセ8パート、リズム8パートの計16パート構成で、Liteの制限を大幅に上回ります。実際にLive Liteで開いてみると制限をオーバーした情報は容赦なく切り捨てられています。Liteで利用できるデータを制作するには相当意識しなければなりません……が、そんなちまちました意識で音楽を作って楽しいか?という話はあるような。KORG的にはアプリ添付のLiteライセンスは単なるアップグレードの割引クーポン程度という位置づけなのかもしれませんが……なおLite用でないプロジェクトファイルもLiteでいちおう開けます(保存や編集は不可)。
プロジェクトの中身はと言いますと、情報が存在するのはセッションビューのみ、アレンジメントビューには情報はありません。MIDIの情報もなし。ELECTRIBE Waveでのソングのパターン並び順はセッションビュー各トラックのクリップの並び順として表現されます。アレンジメントビューの情報は生成がむずかしいのかもしれませんが、結果的にAbleton LiveのプロジェクトはELECTRIBE Waveでの生成音声の素材活用向けというスタンスになっているように思います。ELECTRIBE Waveに単体で音楽制作を完結させられるだけの能力があることを考えれば、こうした位置づけは妥当と言えましょう……とはいえMIDIの情報がないのはやっぱり残念。音響と音程の組みあわせからの発展もあると思うのです。今後のバージョンアップ、あるいは別アプリでの展開に期待したいところです。
以上、ELECTRIBE WaveのAbleton Live Project形式エクスポート機能についてでした。