外出するのもままならない様子の今日このごろ、振りかえってみればさまざまなPCを持ち歩きしてきましたが、個人的な事情もあり最近はその機会もだいぶ減ったので、これを機に過去の体験を簡単にまとめておくことにします。
Olivetti QUADERNO 33
ThinkPad 220などの登場でいまや死語と化した「サブノート」というカテゴリーが生起しつつある中、投げ売りされていたのを購入。投げ売りされるのもわかるかなり癖のあるPCで、ローカライズもされなかったこのマシンが日本でどの程度実用的に使われたのかは不明ですが、その癖の部分を楽しんでWindows for Workgroupsをインストールしたりしてました。そこそこ持ち歩いたりもしましたが、思いかえしてみるとそんなに活用したという感じではなかったかもしれません。
IBM PalmTop PC110
言わずと知れた名機……ですが定価販売のあいだは高くて手が出ず、在庫一掃スーパーセールで格安になってからようやく入手しました。
これは使い倒しました。電車の中でテキスト書いたり高速バスの中でテキスト書いたり飛行機の中でテキスト書いたり炎天下の電話ボックスの中でメール受信したり……。当初はおとなしくDOS/Vマシンとして使っていましたがケース買ったり外装を変えたりしているうちに最後にはFreeBSDを導入してng(軽量日本語Emacsクローン)やPine(IMAP MUA)、IceWM(ウィンドウマネージャー)などを組みあわせてWindowsより快適な環境を構築したものです。twmより圧倒的に高速なIceWMは衝撃的でした。
しかしネットワーク接続環境がアナログ電話回線ベースから携帯電話やPHSなどの無線回線ベースに移る中、DOSやFreeBSDの汎用ドライバでは使えないデバイス(PCカード)が増えたため実用的な利用は困難に。以後その座はLinux Zaurusが引き継ぐことになります。
NEC VersaPro UltraLite タイプVS
業務で24h/365d保守担当を一人でさせられていたときに当時の上司に「休みのときになにかあったらどうするの?」と言われまして、それを考えるのがあんたの仕事でしょうがという話はあるのですがそれは置いておいて、ここぞとばかりに入手したのが当時ちょっと話題になっていたこの軽量マシン。
これは重宝しました。一言でいえば必要十分質実剛健、ACアダプターもコンパクトかつ軽量で業務用で持ち運ぶノートPCのツボをよく押さえている感じ。性能はそこそこでしたが、リモートデスクトップで接続して作業するのに性能はそんなにいりません。おかげさまで新幹線で客先に向かう途中にトラブルシューティングを行うなど貴重な経験もできました……いや、そんなのやるはめになるのがおかしいやろ。
しかしプロダクトとしてははいかにも業務用という感じでインプレッシブなところがなく、名前も特徴がなく覚えていられず、重宝した割には印象の薄いマシンでもあります。
そういえば箱にPC-98NXと書かれていて驚愕したものです。こんなところに生き残ってたのかお前、という感じ。
SONY VAIO Pro 11
このころに登場したノートPCのカタログスペックを見ていたら一日くらいならACアダプターを持ち歩かなくてもなんとかなりそうに思えたので、当時最軽量クラスの製品を購入。デザインもプロダクトとしての質感も素晴らしく(ざっと見たかぎりでは後のVAIO株式会社の製品とはあきらかに一線を画していました)持ち運ぶ喜びにあふれていた、のですが、バッテリーの消費が予想以上に速くACアダプターレスの運用は不可と早々に判明。その上ACアダプターが重くおおきくてVersaPro UltraLite タイプVSより取りまわしがあきらかに悪化。ソニー製カスタムデバイスドライバのおかげでWindows 8マシンなのにWindows 10へのアップグレードもしづらく、その上ソニーはほどなくPC事業を売却するという、いろいろな意味で残念な結果となった買いものでした。とほほ。
Lenovo Yoga Book
発表時に話題になったこのPC、この手の変わり種マシンに手を出すのは控えようと思っていたのですが、たまたま長期試用の機会があり、シャットダウン時のバッテリーの持ちが想像以上によかったので(VAIO Pro 11はこれが致命的に駄目だった)つい購入してしまいました。発売からしばらくたっていたのでけっこう値引きされていたのもポイント。
レビューでは賛否両論というよりは否のほうが多かった印象のハロキーボードは、そもそも打鍵感が違いすぎてミスタイプ前提で入力するため、個人的には十分使える範囲と考えます。ただ 0
より右側のキーの幅が狭いのは日本語を書くにしてもコードを書くにしてもマイナスポイント。また薬指の力が弱い私はタイプにムラができるという考えもしなかった誤入力のパターンに見舞われたりしました。
性能的にもWindows Updateを実行すると本当に終わるのか心配になるくらい時間のかかる低性能ですが、もともとリモート接続やテキスト入力が目的なのでその点は問題になりません。それよりも小型軽量な本体やUSB給電対応によるACアダプターの小型化によるメリットのほうが圧倒的におおきいので、これはよい買いものでした。安かったし(Yoga Book C930のほうはさすがに気軽には手を出せない……)。
……とまあいろいろ使ってきましたが、最近はメインマシンが十分にちいさく軽くなったのでそちらを持ち歩くこともしばしば。わざわざ軽いマシンを別途用意する時代は終わろうとしているのでしょう。とはいえ軽量持ち運びマシンはあらたな技術の挑戦の場でもあったと思うので、今後も意欲的な製品の登場を楽しみに待ちたいところです。