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レビュー: 中野律紀『太陽の下で』

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古本屋の店頭に並ぶ処分品CDの中に中野律紀『太陽の下で』を見つけたので保護してきました。

中野律紀 / 太陽の下で - CDJournal

中野律紀という名前をご存知の方は少ないと思いますが、RIKKIという名前なら耳にしたことのある方もいるのではないでしょうか。おそらく一般的にはファイナルファンタジーXの主題歌「素敵だね」の歌唱で知られるであろう彼女は、デビューからしばらくは本名で活動していました。『太陽の下で』はそのころに発表されたセカンドアルバムです。

私も事前情報として知っていたのはこれくらい。さてどんなものかとブックレットを開いてみると、クレジットには当時の実力派ミュージシャンの名前が。ピアニカ前田にASA-CHANG、渡辺等、三沢またろう、斎藤誠、窪田春男にバカボン鈴木(バカボン鈴木は作編曲にも参加)、極めつけは武川雅寛に仙波清彦!。アレンジと演奏は盤石です。

しかしそれだけでは優れた作品にはならないのがポピュラー・ミュージックのむずかしいところ。曲それぞれは悪くはないものの歌詞やタイトルも含めて印象に乏しく、中野律紀の高い歌唱力を生かそうという工夫も見られません。アルバム全体を貫く芯も見受けられず、奄美出身という特長のアピールも単語や使用楽器にわずかに見られるだけ。ヴィジュアル面も含め、どのようなイメージをトータルで打ちだすかについて詰め切れていなかったのではないでしょうか。これはおそらくプロデューサーの責任で、個々の要素には見るべきところもあるので、実にもったいない話ではあります。仮に星をつけるとすれば三つというあたりでしょうか。

中野律紀がその魅力と能力を全面的に展開するのには、久保田真琴とサンディーをプロデューサーに迎えた次のアルバム『RIKKI』を待たなければなりませんでした。

(文中敬称略)

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