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レビュー: THE BEATNIKS『THE BEATNIKS 19812001』

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高橋幸宏と鈴木慶一によるバンド、THE BEATNIKSの、オリジナルアルバム三枚と未DVD化映像のボックスセットが登場しました。

VISUAL -映像- | PONY CANYON ポニーキャニオン - THE BEATNIKS 19812001:DVD

二人が設立、『EXITENTIAIST A GO GO -ビートで行こう-』発表の場ともなったT・E・N・Tレーベル30周年記念ということなのですが、残りの二枚は違うレーベルで発表されて関係ないわけで、やや唐突な感は否めません。しかし全アルバムリマスタリングは朗報で、特にファーストアルバム『EXITENTIALISM 出口主義』は再発さえなかなかかからずリマスタリングもはじめて。これは入手する貴重な機会です。というわけで、アルバムはすべて持っているのですが、買わないわけにはいきません。まあ一枚二千五百円と考えればそれほど高いというわけでも……洋楽だと十枚くらい入ってそうですけど……

そのリマスタリング、私のリスニング環境では費用対効果充分、どのアルバムも奥行き・立体感の増した音像を聴かせてくれました。驚いたのが『M.R.I Musical Resonance Imaging』。2001年のアルバムなのでそれほど変わらないだろうと思っていたのですが、あにはからんや、だいぶ違った感じに。リマスタリングの効果というよりはマスタリングの方向性の違いなんでしょうね。一方『EXITENTIALISM 出口主義』は期待がおおきすぎたせいかこんなもんかと感じる面も。いちばん効果を感じたのは『EXITENTIAIST A GO GO -ビートで行こう-』。以前のリマスタリング版を聞いていないからかもしれませんが。あとすこし歯擦音が気になるかなあ。

DVDの目玉はなんといっても『EXITENTIALISM 出口主義』発売時のビデオクリップ集『出口主義』。まあいまとなっては資料以上の価値があるとは言いがたいのですが(鈴木慶一のあぶない目つきとか)、画質は良好ですし、演出もそれほど古びていません。『EXITENTIAIST A GO GO -ビートで行こう-』発売時のライブ映像は注記されているとおり発表を前提とした記録ではないので音質も画質もかなりつらいのですが、大村憲司の切れ味鋭いすばらしいギターソロがそんな些細な事情をすべてなぎ払います。『M.R.I Musical Resonance Imaging』のライブ映像は特に前半のDJスタイルのパートが元が放送用とは思えない力の入った作り。おおきく異なるアレンジも必聴ものです。
 なおデビュー前の姿(数秒)とデビューから十年ほどを経た姿を確認できるので高野寛のヘビーなマニアは必見。

そして特筆すべきはブックレット。最新インタビューや全曲コメントは想定の範囲内、当時の写真やシングルレコードのジャケット、手書きの歌詞・コード譜などファンにはうれしい資料もまあ理解できるのですが、レコーディングのトラックシートにマルチのマスターテープやそのケースの写真、果てはミキシングコンソール用フロッピーディスクの写真など誰が喜ぶんだろうこれというものまで満載。はじめて通して見たときはヘンな笑いが出そうになりました。全部楽しめる人はどれくらいいるのか……

アーカイブとして考えるとやはり『THE SHOW Vol.4 yohji yamamoto collection music』が欠けている点が残念でしかたがありませんが、長期にわたる活動をあらためて俯瞰するのに適していることはまちがいありません。価格のこともあって万人にお勧めというわけにはいきませんが、二人の活動を継続的に追ってきた方は振りかえるために入手してもよいのではないかと思います。

(文中敬称略)

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