もしも若くて野心があって才能を信じているときに音楽を形にすることができていたら、きっと固い殻を作ってその殻越しに投げつけるようなスタイルを選んでいたのではないかという気がする。
しかしもうとっくに若くもなく野心も失せ才能のなさも身に沁みて、こだわりもだいぶ薄れ、できることはなんでもやってみようかという気のほうが強くなっている。
だから作りものめいていても借りものっぽくても嘘くさくても荒削りだと思っても、できたものは自分で評価したりせずにできるだけ出してしまおうと思っている。
……と言うような話はたしか前にも書いた。
今回の作品もそんなうちのひとつで、音はともかく詞は、昔なら思いついてもらしくないとでも考えて完成まで至らなかったのではないかという気がする。
そういった、ある意味肩の力の抜けた気楽な作品だと思ってもらえればいいのだけど、こんな駄文を読んでくださった方にひとつだけつけ加えると、これもまた、あの日のあとの歌だと思っています。
……せっかくなので技術的な話も。
- メロディも歌詞もお聞きのとおりの感じなのでVOCALOIDのパートのパラメーター調整はほぼ行っていません。ちょっと長い音符になるとすぐ張りつくビブラートを取りまくったのと息継ぎ風に切ったほうがいい部分の音符の長さをちょっと短くしたくらい。いやー、パラメーターはなんんだかたくさんあるんですけどね、めんどくさくって……。これくらいでもけっこう聞けるものです。もっとダイナミックスが必要な歌などはそうはいかないんでしょうけど。
- 動画に使った作品のうち写真は全部自前のものです。今回はサイズいっぱいに写真を表示したくて、となるとたいていの写真ではトリミングする必要がありまして、それを他人の作品でやるのは忍びなくて……。やってみたらけっこう情報量が失われることを実感できました。
- 写真自体は北から南まで各種取りそろえてみましたが、もうちょっと演出考えないといけない感じですねえ。しかしこちらの方向に手間をかけるのはどうかなあ……
- 動画作成は例によってProcessingでやってます。今回気づいたのは次の二点:
- PApplet#loadImageメソッドはWindowsで動かしていても読みこむファイルの英文字の大文字小文字を区別する。
- MovieMakerクラスコンストラクタの第三引数に渡すファイル名に日本語を利用すると動作しない。
(これまでの作品は「はりぼてミュージアム」からどうぞ)