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西村佳哲『自分の仕事をつくる』を読む(4): 「1. 働き方がちがうから結果もちがう」 - 「深澤直人さんに聞いた働き方の話」

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あいだに挟まれたコラムのひとつで西村氏は深澤直人氏の語った次の言葉を記している。

やはりモノをつくり出していく過程で体験できるいろんな物事を、もっと大切にした方がいい。それは宝のようなものだと、僕らは思うんです。(p.37)

これは立ちどまって考える価値のある言葉だと思う。はたして私たちはいろいろな物事を体験できるようなものづくりの過程を経ることができているだろうか、と言い換えてもいい。気づいてみれば消費のサイクルは早まるばかりで最新型の商品はいくらもしないうちに新製品によって時代遅れにされ世の中から消えていってしまう。PCや携帯電話に至ってはもはや季節商品だ――春モデルに夏モデルに冬モデル。季節と機能が連動しているわけでもないのに、なんでそんなサイクルに乗っからなければならないのか? ロングセラーはなぜ生まれ得ないのか? 新製品の最大の価値はもはやあたらしいというそのものにしかないのか?
 生産という経済活動の一端を担う人間にとってこうした流れにあらがうことは、しかし実際には容易なことではない。競争を前提にした社会では競争から降りることそのものが負の価値をまとうことにつながるからだ。加速していくサイクル、激化していく競争は少数派であることを選択する自由そのものを奪っていると言える。
 そうであるからこそ、せめて過程の体験の大切さは忘れずにいたい。意識するだけでも違いはあるに違いないし、加速を自明のものとはせず相対化するにもその意識は役にたつはずだから。

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